2012

真の強さ

ロンドン五輪の日本人金メダリスト第1号の、柔道女子57キロ級の松本薫さんのあだ名は、鬼のように相手をにらみつけて果敢にせめるスタイルから「野獣」といわれていましたが、世界選手権で、相手かまわず前に出て、手を骨折しました。それ以来「相手をみて我慢する」柔道に転じました。
そして、今回の五輪で得たもの、それは、真の強さを知ったことです。
金メダルを期待されながら敗れた福見友子、中村美里寮選手が、試合前に声をかけてくれたのです。
「おかげでプレッシャーがなくなった。 二人とも負けた悔しさでいっぱいのはずなのに、励ますことばをくれた。本当に強いと思った」と。

[2012.11]

熊と共に生きる

ことしも、もう人里にあらわれた熊の情報が寄せられています。毎年のように人を襲った熊が射殺されていますが、中学2年生の瑞恵ちゃんは、報道は人間の被害を強調するが、熊は自分の身を守ろうと、必死なのではないか、動かなくなった熊を見て、人間がしたことに気づいてほしいと訴えます。
私は、同じ地球の動物たちと共に生きることを考えたい
捕獲してしばらくオリに閉じ込め自然に戻すときに銃声などで脅かして「人間は怖い」ことを        
学習させたらどうか、と優しい知恵をしぼっています

[2012.10]

言葉

古里小学校 5年生

言葉は
時に、人をきずつけ 悲しませ
時に、人を楽しませ 喜ばせる      
人は、言葉で
立ち上がれなくなることもあるが
言葉だけで助けられることもある  
言葉は
力をひめている

[2012.09]

いじめる人可哀想

「私には忘れられない先生がいます。小学四年生のときの担任の先生です。初めて会った時は、どこにでもいる女先生と思っていましたが、しばらくしてクラスで不登校になった子がいました。後でいじめが原因とわかりました。教室で、先生がいじめた人たちに話をしました。怒るのかと思ったら違いました。先生はとても優しく言いました。
いじめられている人よりもいじめている人の方が可哀想なんだよ、心に病気をもっている。いじめている間、つらいと思うよ」と。
《東京都江戸川区 中学2年生》

[2012.08]

気づこう親の苦労に

「私は今、中学で部活に入っているし、習い事もして、毎日なんの不自由もなく過ごしていますが、最近は不況で職にもつけず、物の値段が上がって大変だと聞きます。今までやりたいことさせてもたり、欲しい物を買ってもらったりしたのは、親が働いているからこそであって、自分の力ではなにもできないと思いました。親も大変なのに、なにも言わず私のしたいことをさせて頑張っていると気づきました。不況で大変でも親は子どもの前では何も顔に出しません。そんな時は、子供は気づいてあげねばいけない、せめて我がままをやめてお手伝いをして、感謝の気持ちを伝えたいと思います」
《福岡市 中学2年生》

[2012.07]

歴史の背景

大阪市のYさんは3月に卒業した中学の先生を尊敬しています。先生は歴史の授業のときに、「歴史の本や遺跡みたいな、見えるものだけが真実じゃない。歴史の背景には必ず誰かの意志がある。ほんとうに良い行いは無欲だから残らないし、それこそが真実だ」と。

その言葉ではじめて歴史の大切さがわかりました。歴史を学ばなくても生きていけるかもしれない。でも、先祖がたくさん努力し、苦労してくれたからこそ便利な生活ができる。そのことに感謝し、また未来に責任を感じました。

[2012.06]

お父さん見ててね

この春から中学生になったM子さんのお父さんは、生まれて6ケ月のM子さんを残して亡くなりました。お父さんの顔も知りませんし、遊んでもらった記憶もありません。冬休みにアルバムを整理していたら、兄さんにはお父さんと楽しく遊んでいる写真がいっぱいあるのに、M子さんには1枚きり。それでごねていると祖母がお父さんのことを話してくれました。

薬剤師のお父さんは優しくて病気の人から慕われていたこと、産院から帰ったM子さんを大喜びで抱き、離さなかったこと、入院するとき、ひな祭りまで必ず帰ると、パソコンにメッセージを入れていったこと・・・M子さんは胸が熱くなりましたそして夢に向かってがんばると誓いました

[2012.05]

嫉妬心を思いやりに

仲の良い友だちや好きな人が、他の友だちと遊びに行ったりすると、心のなかがモヤモヤしたり、「何で私を誘ってくれなかったんだろう」とすごく不安になることってありませんか。岩手県の高校生Kさん(15歳)は、このことをお母さんに相談したところ、「わたしも同じようなことを思ったことがあったわ。でも、今考えてみるとそれは、相手を大切に思っているからなのよ。 その相手を思う優しい心を今度は、その人のために使えるようになるといいわね」と言ってくれました。
嫉妬心を、人を思いやる心に転換できたら素晴らしいね。

[2012.04]

挨拶は人間関係の特効薬

中学二年生のS君は、毎朝、登校の途中で、よく顔を知らない人にも挨拶をします。挨拶の大切さを感じているからです。先日、お母さんと一緒にいたとき、いつも挨拶を交わしているおばさんに会いました。その方は後日、母に「いつも挨拶してくれるのは、お宅のお子さんだったのですね」と喜びほめて下さったそうです。挨拶一つで明るい会話ができました。
高齢者の孤独死など人間関係の希薄さが大きな社会問題とされ 地震災害によって改めて「絆」が見直されています。

挨拶を通して人のつながりを感じられたら自然と孤独な人は減っていくと思います。

埼玉県富士見市のS君

[2012.03]

現代学生百人一首より

●駆け寄られ「せんせい、あのね」と言われたらさらに高まる保育士の夢 <愛知県高校3年生>

●機械科男子の中に女子ひとりそれを覚悟で目指す夢あり <山口県高校1年生>

●被災地となった故郷を前にして震える母の肩を支える <高校2年生>

●顔知らぬ名前も知らぬ人達に生きてほしいと願った三月 <高校2年生>

●いつの間に大人と呼ばれる歳になりあたしはわたしに置いてかれている <大学2年生>

●「おかん、おれ」意味なく電話してしまいテレカが尽きる寮のおきまり <高校2年生>

●会えるかな 淡い期待をそっと抱きあの道今日も遠回りする <高校3年生>

●雨を行く新幹線の窓ガラス走れ走れ雨つぶねずみ <小学5年生>

[2012.02]

謹賀新春

2012年 元旦
ことしもよろしく どうぞ

皆さんのなかに
人格という
竜がいます
年をとって
経験を積むとほど
竜は大きく
強くなります

11月に来日した
ブータン国王のことば

[2012.01]